
『東京ノスタルジック百景 失われつつある昭和の風景を探しに』フリート横田/2017年発行
最近、なんとなくこの本を読みました。たまにこういうの読みたくなるんです。
ノスタルジックな光景や廃墟的風景が大好きですのでね。
本の感想としては…なかなかまあまあ良いんじゃないのかな、と思いました。
こういうのが好きな人ならば一冊本棚に置いておいて損はないかと思います。

そして、まあとにかく驚いたのが、この本に「都営下馬アパート」が掲載されていたことです。
このアパート…というか団地なのですが、私は以前わざわざ写真を撮ったことがあります。
おそらく15~17年ほど前の2001~2003年頃です。
↓それがこちらです。

ガードレールが錆びついてますね。今は確かきれいになっています。

なぜだかわかりませんが、当時この給水塔に異常に惹かれて何枚も写真を撮りました。
なぜか変な構図で撮っているのでヘタクソです…なぜこんな撮り方をしたんだろう。。
当時はまだフィルムを使っておりました。
つまり、わざわざ現像してまでこの団地と給水塔の写真を撮ったのでした。
我ながら「なんでこんな小汚い団地の写真なんて撮ってるんだろう…なぜ惹かれるんだろう…」と思いながら撮影しておりましたが、今考えると私の審美眼は間違っていなかったわけです。
だって本を出すほどの実力があるライターの人と同じ感性だってことですからね!笑
この本の筆者いわく「いま、団地や給水塔のたたずまいに惹かれる人は増えている」んだそうです。
つまり、私は時代の先端を行っていたのだ!なんてね。
ちなみにこの都営下馬アパートですが、この本によると、あそこは陸軍の砲兵連隊の兵舎が並んでいたようで、戦後はそれを利用して戦災者や引揚者が多く入居したんだとか。
戦争関連跡地マニア(?)の間では割と知られている情報のようですね。
あと、この団地の近くには馬魂碑があるんですよ。
調べてみると、どうやら軍に所属していた馬の魂を祀る記念碑みたいなものだそうです。
この本には三軒茶屋の「三角地帯」という路地も掲載されていました。この路地は有名ですね。
これも2005年前後くらいの時期に写真を撮っています。
↓それがこちらです。



なんというか…ノスタルジックですよねぇたしかに。
この写真の光景が10数年前のものですから、2018年現在、すでにもうこの光景は少し変わっているので、この私の写真自体が時代を表すひとつのささやかな資料になっているわけです。
そう考えるととても感慨深いです。
この本によると、この三角地帯のルーツは闇市だったそうです。
うまく言えないんですけれど「やがて無くなってゆくであろう光景」というものが今とても愛おしく感じます。
今私が住んでいる家もやがてなくなり、未来の人がふと「ここって昔何があったんだろうね~」なんて呟くのかもしれない…と思うと非常によくわからない旅愁・郷愁…のようなものがこみ上げてくるんですよね。
ヘンテコオリジナル漫画で永遠の命を持つ少女を描いたのも、時代を超えた傍観者が、すべての時代の移り変わりを見続けて記憶し続けたとしたら、何を思うんだろう…?という感覚が自分の中にあったからです。
未来と過去に対するよくわからない俯瞰した感覚とノスタルジアが半端ない今日この頃です。

たとえば、↑この写真は10年ほど前に撮った近所の路地ですが、リフォームされて綺麗になっちゃったため、もうこの光景は存在しません。
もちろん綺麗になって良いんですけど、昔の光景がどんどん変化してゆくなぁというのをしみじみと思います。
ノスタルジー!
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