2006年07月08日

出会い

乾いた咳がでる
ひどく気の滅入る日
私が導かれたのは とある美術館
長い廊下の いちばん奥に
ひときわ目立つ石像が一体
美しく飾られた
台の上にたたずんでいた

そのからだは 大理石でできていて
その瞳には ザクロ石が光っている
見つめていると
吸い込まれそうな 深く赤いひかり
「こんにちは」
赤い瞳をいっそう光らせながら 石像が言った
「こんにちは・・・あなたは・・・とてもきれいですね」
そう言うと
石像は哀しそうに こう言った
「ありがとう・・・でも・・・意味がないのです」
「意味があることなんて・・・なにもないですよ」
「いいえ・・・いいえ・・・このままでは・・・だめなんです」
そういうと石像は
私に こう懇願した
「お願いです・・・私を・・・壊してください」
「なぜ?・・・こんなにきれいなのに・・・」
「いいえ・・・いいえ・・・壊してください
               ・・・粉々にして・・・お願い・・・」
赤い瞳から
ひとしずくの赤が こぼれてくだけた

「お ね が い」

私はそれを見ると
この石像が ひどくあわれに感じられて
衝動的に
石像を 地面へと叩きつけた
大理石は 粉々になり
ザクロ石も こぼれてくだけた


しばらくその光景を眺めていたら
ぴしぴしと 音が聞こえて
視界が ゆがみ始めた

・・・私のからだに ひびが入っていた

みるみるうちに からだはくだけ
粉々になり
塵となり
風にはこばれ
ゆるやかに 消えて
流れて 行った


流れつく目的を知らずに
風は ただただ 吹きすさぶ


あとには・・・なにも残らない


なにも
残らない

posted by イオ at 08:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 自作痛ポエム | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
絵だけじゃなくてイオさんまで砕けちゃった! .・゜゜(T∇T)゜゜・.
Posted by モンコ at 2006年07月08日 22:25
モンコさま>ハイ砕けました。ええ砕けてますとも(笑)

ほんと、絵だけでなく、詩とかでも「砕けてなくなった」とか
「はらはらと消えてゆきました」とか書いていることが多いんですよね・・笑。
Posted by イオ at 2006年07月10日 06:47
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