さてさて、今日は昭和の指輪について語ろうと思います。
(いつもながら内容に統一感のないブログですな…。)
以前も昭和のジュエリーに関する記事を書いています。
(過去に書いたテンション高い記事って読み返すと恥ずかしいな…。)
特に庶民のためのジュエリーについて書いたわけですが、
今回はさらにさらに庶民のために作られたものについて語ります。
語る前にちょっと気になる「ジュエリー」「アクセサリー」という言葉ですが、
なんというか…現在の一般的認識だと、
・ジュエリー⇒高級っぽい装飾品
・アクセサリー⇒安価な装飾品
というイメージですよね。
まぁそういうイメージで合っているんですが、
もっと詳しく考えると…
・ファインジュエリー⇒超高級宝飾品
・ジュエリー⇒高級宝飾品
・コスチュームジュエリー⇒非貴金属で出来ているが凝った造りの装飾品
・アクセサリー⇒非貴金属で出来ている安価な装飾品
…という分類のようです。もちろん、時代や認識によって微妙に違ってきますけどね。
で、今回取り上げるのはカテゴリ的には「アクセサリー」に分類されるものです。
もしかするとコスチュームジュエリーと言えなくはないのかもしれない…。
高級品を模しているという点においてはイミテーションと言えるかもしれない。
とにかく私は、
「千本透かしに石がひとつデデーンと付いているデザイン」が大好きなのです。
なので、ヤフオクや靖国神社のフリマなどで集めてみました。
当然…安物です。ひとつ500~1500円くらいです。
素材は良くてシルバーや金メッキ、
石はガラスや合成石、天然石であってもグレードの低いもので出来ています。
素材不明のものも多いです。
18金で作られている高級品を集めたいのはヤマヤマですけど、資金がないし…。
私のような者が高級品を頑張って集めてもどうしようもないなぁと。
将来的に相続する人もいないし…いずれ天変地異が起きてめちゃくちゃになりそうだし。
(↑こういう風に考えたり性根がドケチの人間はコレクターに向かないです。)
話を戻しまして…
ではこの安物の正体は何なんだろう?何年代のモノなんだろう?と考えてみました。
調べてみるとなかなか資料がない…。
「昭和の千本透かしデザインの庶民向けの安価な指輪」
というピンポイントにハマる資料がなかなかない。
私の探し方がいけないのかもしれませんが…。
とりあえず、ネット上の知識と女学生文化について書かれた本と
服飾系の本などから推察した結果を書いてみます。
あくまで私の推察です。
まず日本における指輪の変遷をざっと考えてみました。
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日本は、指輪文化どころか着物関係や簪以外の装飾品文化が浅く、
明治時代になって海外の文化が入ってくるようになり、
そこから色々なものが作られるようになった。
↓
明治、大正、昭和初期までは、基本的に富裕層だけが指輪などを所有できた。
勿論どれも貴金属で出来た高級品。
(戦前のものはとても細工がよく、日本の器用職人ならではの逸品が多く作られた。)
↓
昭和初期~戦前頃(だいたい1930年代頃)には、徐々に中産階級も指輪などを持つようになった。
流通していたのは、基本的に貴金属+天然石で出来たきちんとしたジュエリーだったと考えられる。
しかし、石は合成石などが多く出回るようになる。
結婚の際の指輪授受なるものが認識し始めるのだいたいこの頃かと思われます。
↓
第二次世界大戦後は一気に西洋文化が押し寄せ、
色々な分野で機械化が進み、結婚指輪などの風習が庶民レベルでもじわじわと浸透する。
そして庶民であっても装飾品を身に付けるようになり、安価なものが大量に出回るようになった。
そしてシルバーやメッキ品、合成石によるものなどがたくさん作られるようになった。
↓
1960年に日本は宝石輸入自由化をし、
それに伴い色々なジュエリーやアクセサリーがもりもり作られるようになった。
1960年代後半以降は、色とりどりなアクセサリーが大量生産されるようになる。
ベークライトやセルロイド、初期プラスチックなどを用いたポップなものもドンドン出回るようになる。
↓
1980年代になるとバブル!bubble!!
大降りで派手なアクセサリーが流行る。
↓
現代
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……で、話を戻して、「石がひとつデデーンと付いている指輪」
というデザインが流行ったのはいつ頃かというと、
厳密にはわかりませんが、1930~1960年前半頃らしいです。
で、今私が持っているような安価な千本透かしの指輪は、
戦後に鋳造(キャスト)によって作られた品物だと考えられます。たぶん。
戦後は物資が乏しく金属の入手が難しいため、
金属を節約するために発案されたのが千本透かしだそうです。
で、その千本透かし品にも色々とグレードがあったと考えられます。
上:18金+天然石や良い合成石で作られている。
細工も丁寧で手作業で作られている。
中:18金などで作られているが鋳造で作られている。
下:シルバーや正体不明の金属が用いられ、鋳造で作られている。雑な仕上がりが多い。
私が持っているのは↑この格付けだと「下」になります。下の下ですな。
たまにヤフオクでこの「下」の指輪を
「1930年代頃のもの」と言って売ってる人がいるのですが、
十中八九戦後に作られたものだと思うんですよね。
戦前の指輪は、同じような「石がひとつデデーンと付いている」デザインであっても、
基本的にきちんとした貴金属を用いて、千本透かしではなく、
職人が丁寧に手作業で作っているものが多いので、違いがわりとハッキリわかります。
戦前であるか戦後であるかは重要なポイントになっていると考えて良いと思います。
ちなみに、指輪や装飾品に限らず、戦前のものはとても良い細工の品が多いです。
戦後は戦前活躍していた職人たちが一気に姿を消したようです。
ロストテクノロジー…。
長々とダラダラ書きましたが、
要するにじゃあこの指輪はいつ頃のものなのかというと、
上記のような推察による結論としては、
「1950年代~1960年代前半頃につくられた超庶民向けのものである。」
…という可能性が高いんじゃないかなぁと思います。
もしかしたら60年代後半のものもあるかもしれません。
ちなみに、「千本透かしに石がひとつデデーン」のデザインは、とても石が外れやすいです。
「上」「中」のものはきちんとセッティングされているでしょうが、
それでも他のデザインと比べるととても外れやすい作りだと思います。
↑外すとこんな感じです。これはフレームの歪みを直そうとしてますます歪んでしまい、
どうしようもなくなったので外してしまいました。。
もともと作りは雑で石がフレームに全く合っていませんでした。
↑これらは千本透かしではありませんが、系統としては同じ流れですよね。
おそらく比較的新しい時代に作られたものだと思われます。
それにしてもやはり昔のものは見ていて楽しいですね(´ω`)
千本透かしでなくても、昭和ならではのデザインのものは独特で面白いです。
側面の…いわゆる「腰」と言われている部位が凝っているのが昭和の指輪の特徴だと思われます。
最近はこういうデザインはあまり作られてませんよね。
また無駄に長い記事になりました…(;´∀`)
間違っていたらご指摘くださいね。
参考にした本などは⇒こちら
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文中『「昭和の千本透かしデザインの庶民向けの安価な指輪」というピンポイントにハマる資料』についてですが、資料はなかなか難しいですが、祐天寺にある「アクセサリーミュージアム」というコスチュームジュエリーの美術館の館長さんにお見せするとすぐわかると思います。
ご参考になれば幸いです。
コメントありがとうございます(*^^*)
褒めて頂けて嬉しいです。
コスチュームジュエリーの美術館の館長さんですか、なるほど。情報をありがとうございます。
なかなか、こういったものについて詳しい人って身近には居ませんからね。