ひとり
ひとがいました
そのひとは
カラカラにかわいていました
こころのしずくを失って
ひび割れて
吹きすさぶ風にさらわれて
そのからだは
はらはらと消えてゆきます
「・・・水を、差し上げましょうか?」
「いいえ・・・いいえ。もう手遅れなのです。・・・ありがとう。」
「いいえ・・・いいえ。もう手遅れなのです。・・・ありがとう。」
そのとき
いっそう強い風が吹き荒れて
そのひとは
消えてしまいました
あとには
わたしだけが・・・残りました
わたしだけが わたしだけが わたしだけが
ひとり
残りました 残りました 残りました