2006年05月20日

寸劇

舞台の上
セリフが出てこない
私のセリフは何だったろうか?
思い出せない 完璧に覚えたはずなのに
薄白く奇怪なライトの光が突き刺さる
痛い
ああ はやく何か言わないといけない
私のセリフは何だったろうか?
思い出せない
・・・いや そもそもセリフなどあったろうか
そう思うと セリフなどなかったような気がしてきた
そうだ セリフなどない
ではもう舞台にいる必要などないではないか
降りよう 外に出よう


外に出た
鳥たちがうたっている 届かぬ空がまぶしい
白い日傘が歩いている
太陽の光が反射して 目に流れ込む
痛い
耳の中では何かが鳴っている
短い旋律がぐるぐるとまわりつづける
こうして立っていると 夢幻の中に吸い込まれるようだ
日傘がこちらに歩み寄り 私にたずねた
「私は何処へ行けば良かったでしょうか?」
「ゆきたい場所がおありなのですか?」
「・・・探している場所があるはずなのです。でも、わからないのです。」
そう言うと 日傘はいなくなった
取り残された私は ひどく退屈になったようだった
そしてそれが怖くなった
まるで 幼いころに感じた母がいない夜の
漠然とした不安の再来


気付いたら 私の足は舞台にあった
セリフを思い出した――――・・・

『どうあがいても、絶望。只、それだけであります。』

そして 拍手 拍手 拍手

P1000032.JPG
posted by イオ at 17:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 自作痛ポエム | 更新情報をチェックする

2006年05月09日

永遠のサイクル

わたしは生み落とされた
永劫の過去から永遠の未来へと流れる
長い長い夢の重みを
からだの奥に残したまま
わたしは歩いた

灰色の空の下
無機質な空気に染まりながら
歩き続ける・・・
起こらないことへの恐怖におののき
時計じかけの神様に従う
ぼんやりとした天使たちにそそのかされ
支配された祈りを
捧げていた

やがて祈りがこだまして
もうひとりの「わたし」になった
この現象は連鎖しつづけ
黒い群集へと増殖した
そして「わたし」たちは探しはじめる
祈りの「意味」を・・・

それは
どこにもなくて・・・
・・・なにもなくて・・・   闇でさえもなかった

ある日とうとう
混乱が起きた
「わたし」たちはパニックになり
争い
わめき
叫び
あえぎ
消滅した

すべてが・・・くだけた

そして粉々になった残骸の中から
新しい「わたし」が誕生した

P1000063.JPG


posted by イオ at 17:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 自作痛ポエム | 更新情報をチェックする

2006年05月06日

流動

現実が正体をあらわした
言葉が宙に浮いた
海が上昇した
空が砕け散った
地面は波打ち
木々は風となった

そう すべては覆る可能性を秘めた現象

星は流れ出した
知識も流れ出した
流出につぐ流出
すべてのものが流れていった
流れ着く目的を知らずに
ただ永遠に絶え間なくそれは続く

そう すべては覆る可能性を秘めた現象

行き先を知らない
何も知らない
何も知れない

そしてそれは続く

P1000037.JPG
posted by イオ at 15:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 自作痛ポエム | 更新情報をチェックする